全国乳児福祉協議会

乳児院なんでもQ&A

不安や心配なことにお答えします

乳児院に子どもを預けたいのですが、どこに相談したらいいのでしょう。
お近くの乳児院や児童相談所、民生委員・児童委員、主任児童委員または福祉事務所などにご相談ください。最終的には児童相談所の判断で、乳児院に預けることができるようにとりはからいます。
乳児院に子どもを預けるとき、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
乳児院でかかる費用は、主に公費でまかなわれていますが、保護者の前年度の所得や世帯の状況に応じて、段階的に一部を負担していただいています。くわしくは、お近くの児童相談所でおたずねください。
乳児院では、何歳までの子どもをいつまで預かってもらえるのでしょう。その年齢が過ぎても引き取れない場合は、どうなるのでしょうか。
平成16年の児童福祉法改正により、保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により、特に必要のある場合には、就学前までの入所が可能となりました。そのため、児童相談所が適当と判断した場合は、就学前まで乳児院でお預かりし、養育を行っています。 もし乳児院在籍中に引き取りが難しい場合には、里親や児童養護施設などへ移ることになります。
乳児院に子どもを預けるとき、準備するものはありますか。
衣類やおむつなどいっさい必要ありません。ご用意いただくものは、母子健康手帳、保険証、健康診断書などです。
乳児院で子どもが病気になったら引き取りにいかなくてはいけないのですか。
乳児院では、保育士も看護師も赤ちゃんの病気についての専門的な教育・研修を受けており、病気にかかったお子さんの世話も安心していただけます。
保育所の場合は、お子さんが病気をすると引き取らなければなりませんが、乳児院では、看護師が中心となってお子さんの看病をします。もちろん、医師の診察を受け、必要な場合は薬も飲ませますからご安心ください。
うちの子はアトピーです。食べ物が心配です。乳児院ではこのような特別の病気や障害を持った子どもでも預かってもらえるのでしょうか。
乳児院には、専門の栄養士や調理員がいます。したがって、アトピー性皮膚炎などでアレルギー食(除去食)が必要な場合にも、特別の献立で調理することができます。しかし、除去食の是非についてはいろいろな考えがありますので、お子さんの成長・発達をそこなわないように配しながら食事療法を行うことになります。
 乳児院には、保育士のほかに看護師もいますので、アトピー性皮膚炎のみならず、喘息のお子さんや未熟児で生まれた赤ちゃんなど、病弱、虚弱なお子さんや発達障害を持っているお子さんもお預かりして、それぞれのお子さんにあった子育てに努めています。
面会は自由にできるのですか。日曜日など外泊は許されるのですか。預けたら、ずっと会えないのではないかと不安です。
乳児院では、お子さんにとっていちばんよいことを、といつも願っています。愛されていることを知ること、その中でご家族との絆を深めることは、お子さんにとって大切なことです。どうぞ、時間があるときに面会にきてください。何度か面会を重ねたうえで外泊もしていただいています。
しかし、面会のために睡眠時間が乱れてしまったり、風邪がはやっているときなどの外出、外泊はお子さんの健康を害してしまうことになりかねませんね。そこで、時間内の面会をお願いしたり、ときには外泊を遠慮していただくこともあります。
乳児院での生活に慣れてしまって親を受け入れてくれなくなるのではないかと心配です。
よくこのような心配をされますが、ご安心ください。たとえば、お母さんが4カ月間入院され、生後9カ月の赤ちゃんを乳児院でお預かりしたとします。お母さんが入院中は、受け持ちの保育士やスタッフがお母さんに代わって赤ちゃんをしっかり育てていきます。お母さんから離された赤ちゃんは、はじめは緊張していますが、しだいに受け持ちの保育士に甘えるようになり、心が安定しつつ育っていきます。そして、お母さんの病気がよくなって、面会にいらしたとき、最初はお母さんに人見知りをして、さびしく思われるかもしれません。でも、その後、何回か面会の際に抱いたり、あやしたり、遊んだりしているうちにお母さんに、もと通りなついていきます。お子さんと外出したり外泊をしたりしているうちに、ちゃんとお母さんに甘えるようになっていきます。お子さんにとって、お母さんにまさる存在はないのです。ご安心ください。
乳児院から子どもを引き取るとき、家庭生活に向けて準備はどのようにされるのでしょうか
何よりも大切なことは、お子さんがご家族に甘えたり、十分に愛情と信頼の関係を保てることです。そして、お子さんがご家庭に引き取られたあとも安全と健康が守れること、経済的にも安定した生活が送れることなどが大切です。その準備として、乳児院では、外出や外泊などの計画をたて、お子さんとご家族がいっしょの生活に徐々に慣れていただくようにしています。ご家庭での養育に必要なものをそろえたり、環境を整え、食事の介助やおむつ交換、入浴など育児の練習もしていただきます。このように乳児院では、家庭引き取りに向けてスタッフがお手伝いします。
乳児院に子どもを預けることで、母親として心がいたみます。でも、子どもをかかえては生活ができません。母親として自信がありません。
たとえ、どんな事情にせよ、わが子と離れてくらさなければならないとしたら…親としてこれほどつらいことはありません。ましてや幼い子どもです。お母さんがどれほど心をいためていらっしゃるかお察しします。
乳児院では専門のスタッフが愛情を持ってお子さんのお世話をしています。一人ひとりのお子さんの発達や個性を大切にしながら、大人に甘えたり、信頼関係が保てるように心がけています。また、お子さんのペースにあわせながら、生活習慣も身につけていくようにしています。お宮参り、お食い初め、お誕生日、初節句など家庭で祝うのと同じように、乳児院の行事として取りいれています。
そして同時に不安や心配をかかえていらっしゃるご家族へのサポーターでもありたいと願っています。今はさびしいでしょうが、「あのとき子どもを預けてよかった。その間にしっかり生活の基盤を作ることができた」と思っていただけるように、スタッフ一同頑張っています。預けることでご自分を責めたりなさらないで安心してお任せください。お子さんの明るい笑顔がきっとお母さんを勇気づけてくれるでしょう
現在、第2子を妊娠中です。夫は単身赴任で遠方のため、出産時にはそばにいてもらえません。両親も他界し、産後のめんどうを見てくれる人がいません。上の子をどうしたらいいのか迷っています。
次の子の出産のために上の子を預かってほしい、夫が入院してつきそうことになり、その間、乳児院で子どもを預かってほしいというご相談がよくあります。0歳から3歳未満のお子さんなら、乳児院でお預かりできます。3歳前後の場合は、児童養護施設でもお預かりできます。7日間を限度とした短期入所制度(ショートステイ)、1カ月を限度とした緊急一時委託、1カ月以上が予想される通常の入所など、お預かりする期間によっては、手続きをしていただく方法が異なることがありますので、まず、お近くの乳児院にご相談ください。主任児童委員・児童委員・民生委員・児童相談所・市役所の福祉課・町村役場などにもお問い合わせください。また、昼間だけ(デイケア)、夜間だけ(ナイトケア)、病気のお子さんを昼間だけお預かりする制度(病児デイケア)もあります。主に公費でまかなわれますが、ご家庭の収入に応じて一部ご負担いただく場合もあります。
子どもが3人いるのですが、上の子のとき水ぼうそうで長期に保育所をお休みしなくてはならず、仕事の関係もあって大変苦労しました。
病児デイケア室を併設している乳児院の場合は、保育所と同じ時間帯に病気のお子さんをお預かりしています。事前に地元の病児デイケア室に登録し、利用のしかたなどを知っておくとよいでしょう。
入院を必要としない病気ならば、ほとんど預かってもらえますが、水ぼうそうやはしかなどの伝染性の病気の場合には、病初期(急性期)にはお預かりできない場合があります。あらかじめ、どのような状態だったら預かってもらえるかを確認しておいてください。
生後4カ月の子どもがいます。いとこの結婚式に夫と実家に出かけなければなりません。3日間だけ子どもを預かってもらえないでしょうか。
はい、できます。その日からでも預かってもらえます。児童相談所には乳児院から連絡してくれるので、利用しやすい制度となっています。都道府県によっては、短期入所制度でなく、通常の手続きでこのような場合もお預かりしているところもあります。この場合でも、まず乳児院にご相談ください。あとから居住地を担当している児童相談所と連絡を取る必要がありますが、乳児院で相談にのってくれますので心配ありません。
私は学生です。乳児院でボランティアとして働きたいと思っています。受け入れてくれるのでしょうか。どんな手続きが必要なのでしょうか。
乳児院では、学生や社会人、里親など幅広くボランティアを受け入れています。子どもたちも長く続けてくださっているボランティアを心待ちにしています。
ボランティアの種類としては、子どもたちの遊び相手、つくろいもの、掃除、草取りなど乳児院によって支えていただきたいところが違う場合がありますので、お近くの乳児院をおたずねください。手続きとしては、事前にオリエンテーションを受けていただき、ご希望を伺い日程やプログラムなどを調整する方法が一般的ですが、時期や子どもたちの健康状態によっては、ボランティア活動ができないこともあります。乳児院は大切なお子さんを預かっている立場ですので、安全面に関すること、ボランティアの健康、服装など、守っていただきたいことをお願いします。子どもたちと楽しく触れあうことのできる場として気軽におたずねください。