様々な事情によって家庭で赤ちゃんのお世話ができないときに、赤ちゃんを一時的にお預かりし、24時間365日を通して赤ちゃんのお世話をお手伝いします。人の育ちにおいてとても重要な時期ですので、赤ちゃんが安心して健全に育つように、チームで力を合わせ大切に育てます。
赤ちゃんにとって保護者とのつながりは、かけがえのないものです。乳児院は、離れて暮らす親と子の関係性をつないで、家庭に帰るためにサポートし、応援します。 里親家庭と巡り会えたときは、出会いから始まる新しい家族を、ともに寄り添い、しっかり支えていきます。
どの子どもたちも、暮らしている地域のなかで、地域の方の見守りのもと健やかに育っていけることをめざします。全国の乳児院では、各市区町村との契約により、一時的に利用する「ショートステイ(子育て短期支援事業)」や「トワイライトステイ」、地域の親子の遊び場の提供や相談援助を行う「地域子育て支援拠点事業(ひろば事業)」など様々な事業に取り組み、地域で暮らす子どもとその保護者の支援にも力を注いでいます。
乳児院のいちばんの役割は、家庭で育てられない子どもをしっかり見守り育てることです。乳児院が担うもう一つの大きな役割は、新しい時代に合った育児サービスを開発していくことです。乳児院では、子育ての悩みをもつお母さんのために、子育ての専門家として、 「赤ちゃん110番」や「育児相談室」などを設けて応援しています。さらに地域のお母さんたちの交流を図る育児サークルなどを支援しています。働くお母さんのために子どもを、昼間一時的に預かる「デイケア」や、病気の子どもを預かる「病児デイケア」などをスタートさせているところもあります。乳児院が行っている育児サービスの内容を紹介します。サービスは施設ごとによって違いがあるため、最寄りの乳児院にお尋ねください。
乳児院では、子育てで困ったとき、不安になったとき、どうしてよいかわからなくなったときなどに電話で相談を受けています。ベテランの保育士や看護師がお母さんの不安に応えてくれますので、気軽にご相談ください。乳児院によっては、赤ちゃん110番として専用電話で相談を受けているところもあります。
乳児院では、保育士や看護師、栄養士が育児相談や離乳相談、栄養相談にのっています。もちろん電話相談も受けていますが、あらかじめ予約をし、ゆっくり直接会って相談することもできます。まずは乳児院に電話で相談内容をお伝えください。
乳児院の子どもが、里親や養育家庭に委託されることも少なくありません。里親になりたい、養育家庭として子どもを引き取りたいという場合には、まず乳児院にご相談ください。どこに相談すればよいか、手続きはどうすればよいかなどについて教えてくれます。また、里親や養育家庭として子どもを引き取った場合には、その後も子育ての相談を受けられますので、遠慮なくご相談ください。
育児体験教室には、いくつかのメニューがありますので、具体的には実施している近くの乳児院に直接おたずねください。利用料は通常無料となっています。
乳児院におけるショートステイ事業には、いろいろなものがあります。その事業の種類によって、費用の負担額や手続きが異なりますので、具体的には乳児院におたずねください。
病児デイケア室(病児保育室)は、保育所や幼稚園に通っている子どもや家庭にいる子どもが病気をしたときに、専門に保育してくれるところです。看護師と保育士が病状に応じたケアをしています。病児保育をしている乳児院の嘱託医や診療所などの医師も必要に応じて診察します。利用料はだいたい1日2000円前後ですが、事前に地元の病児保育室に登録することになっています。
乳児院によっては、日中だけお預かりするデイ・サービスを行っているところもあります。たとえば、お母さんが家族の通院のつきそいの場合などに利用されています。多くは、公的な補助がなく乳児院が独自にお預かりしているものです。従って1日の利用料も乳児院によって異なります。
企業からの委託を受けて、乳児院で子どもをお預かりする場合もあります。たとえば航空機の客室乗務員のように断続的な勤務の場合には、乳児院で必要なときに昼間だけ預かったり、勤務の関係でお泊まり保育ができれば便利です。この制度が利用できるのは、特定の企業と契約している乳児院で、その企業に勤務している人のお子さんが対象となります。
赤ちゃんとお母さん、お父さんが参加する子育てサークルを計画したり、そのお手伝いをしている乳児院もあります。ここでは、みんながいっしょになって育児の悩みをわかちあったり、乳児院の専門スタッフが悩みの相談にのってくれたり、楽しく遊んだりしています。お近くの乳児院におたずねください。
乳児院を定期的に里親へ開放し、里親同士でお互いの養育についての悩みの語り合いや、職員への相談を行っています。また、乳児院の子どもたちとふれあう時間を設けている乳児院もあり、社会的養育を必要とする子どもたちについて理解を深める場にもなっています。
乳児院によっては、国や都道府県、市町村の補助を受けて、地域子育て支援センターとしてさまざまな育児支援を行っているところもあります。この場合は、乳児院のスタッフとは別に専門のスタッフが中心となって育児相談を受けたり、子育てサークルの育成や支援、あるいは保育所での障害児保育などへの援助を行っています。
乳児院では、喘息、アトピー性皮膚炎、あるいは心疾患や肝炎などの病気をもっている子どもや、未熟児で生まれて虚弱なお子さんであってもお預かりしています。知的障害や身体障害をともなう発達障害児の場合でも、障害児施設に入所できないときには乳児院で預かっています。乳児院では、地域の医療機関や療育機関の専門的な指導を受けながら、これらのお子さんの養育をしています。困ったときには、まずお近くの乳児院にご相談ください。
乳児院では、老人ホームで生活しているお年寄りをはじめ、地域のお年寄りと子どもたちとの交流を行っているところもあります。お年寄りや子どもたちにとって楽しいひとときです。
乳児院には、乳児保育や子育て支援の専門スタッフがそろっています。そのため、保育所の保育士や看護師、あるいはベビーシッターやホームヘルパーなどの専門スタッフを対象として、乳児保育や子育て支援についての実習を受け入れています。
乳児院は児童福祉法第37条に規定された児童福祉施設です。
保護者からはなれて生活することになったお子さんに、適切な環境で安心して生活し、すこやかに大きくなっていただけるよう援助します。
医師、嘱託医、看護師、保育士、栄養士、調理師、家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理士などの専門スタッフがチームで支え、一人ひとりのお子さんを24時間365日養育します。
眠ることは、心や体の安定や発達にとって、とても大切です。
室内の照明や湿度を調節し、安心して十分な睡眠がとれるようにしています。一人ひとりの眠りを見守りながら、安全にも心掛けています。
保護者やお子さんが過ごしやすい場所で面会していただいています。お子さんの日々の様子や最近のエピソードなどもお知らせし、親子関係が一層深まるようにしています。
乳幼児期の食事は子どもたちの成長発達にとって、もっとも大切なものです。
栄養士、調理師によって、一人ひとりの子どもの成長、発達にあわせた食事を提供します。日本の風土や四季を織り交ぜ、楽しく、おいしく食事がとれるよう環境にも心配りをしています。
排泄は子どもたちの健康のバロメーターです。毎日の排尿、排便の観察をしながら健康を維持できるように支えます。子どもたちの発達に合わせて排泄のトレーニングもすすめています。
子どもたちはお風呂が大好きです。身体を清潔にし、スキンシップをする大切な時間です。気持ちのいい体験を通して心の安定や成長を促します。
病気は乳児院の子どもたちにとっても大変なことです。
医師、嘱託医の定期健診の他に病気を早くみつけ治療を受けられるようにしています。病気を防ぐために予防接種もしています。
子どもは遊ぶことが仕事です。生き生きと遊びながら心や体の健全な発達に役立てています。子どもたちの個性に合わせた素材も活用し、楽しく遊んでいます。